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【寄稿連載】第十話 ホームレスの会合、紛糾



今回は松田良一さんのブログ『ホームレスのおっちゃんの溜め息』からご寄稿いただきました。

■第十話 ホームレスの会合、紛糾

俺の思いがけない提案に、おっちゃんたち三人はお互いに顔を見合わせて驚いた。それもそのはずだ。このあいだ、おっちゃんたちのテントを襲おうとしていた若者が、180度変わって今度はなにか手伝わせてほしいと言っているのだ。

しばらくおっちゃんたちは黙っていた。この俺を信用していいのかわからないのだろう。俺は思いきって、自分の想いをしゃべっていた。いまの自分は、アルバイトで生活をしている。なかなか就職ができないのであった。いまの若者にしても、なかにはホームレスの人たちを見て“明日は我が身”と思っている人も少なからずいることも。親や親戚とうまくいっていないことも。

いつの間にか俺は、自分でも気づかないうちに、三人の真ん中に立って力説していた。おっちゃんたちは俺の気迫に押されたのか、あっけにとられていた。そのうちに神さんが手を挙げて俺の言葉を押しとどめ、わかったと言いたげな顔をした。黒さんと前さんとで、なにかひとことふたことしゃべってから、一応俺のことを認めてくれたようだった。黒さんだけは納得いかないようであった。

俺はほっとしていた。だが、これからがなかなか大変なのであった。

俺はそれからは時間を見つけては、おっちゃんたちのテントに出かけていった。そのあいだにも神さんは黒さんを説得し続けていた。だが、なかなか黒さんは納得してくれなかった。

そうこうしているうちに、二回目の会合の日がやってきた。夜だったので俺も時間が空いていて、神さんたちについていった。

会合には公園に住むホームレスや、支援団体の人々30人ぐらいが集まっている。会合が始まった。最初に口を開いたのは、ガンコに都とやりあおうという団体の代表だった。何月何日にデモをやろうというのである。デモをして、普通の人々にこの事態をわかってもらおうというのである。

しかしもう一つの団体は、もう一度都と話し合ってからでもいいのではないかと言った。この日もこの二つの意見が平行線をたどっていて、なかなか結論は出ない。ホームレスのおっちゃんたちも強硬派と慎重派に分かれていた。それでも強硬派のほうが少し多いかもしれなかった。この日も夜9時すぎまで会合が続いた。

結果、強硬派はデモを、慎重派は都と話し合いをすることに決まった。神さんたち三人も、強硬派(黒さん前さん)、慎重派(神さん)に分かれたのだった。

続く


執筆: この記事は松田良一さんのブログ『ホームレスのおっちゃんの溜め息』からご寄稿いただきました。
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