日々たくさんの夫婦の悩みが寄せられますが、特に気になるのが夫婦の会話。特に若いご夫婦には
「二人で別々のテレビを見ていて会話がない」
「話し合おうとするとすぐにキレて、話し合いができない」
「口うるさくて話をしたくない」
などの事例が少なくありません。夫婦の会話の具体的な「症状」を参照しつつ、妻への「処方箋」を考えてみましょう。
■症状1:一人で空回り妻
帰宅は23時過ぎの夫。帰ってくると、缶ビール片手にニュースを眺めてごろごろ。声を掛けても、「うーん」とあいまいな返事だけ。夫からは話しかけても来ない。私や子どもの様子が気にならないのかしら。もう愛情も冷めたってことなのね。
□「一人で空回り妻」の処方箋
この妻が失敗している点は、夫の状態をよく理解していないという点。仕事では周囲に気を遣い、ライバルと戦い、気持ちが張った状態で過ごしています。家に帰ったらリラックスしたいのが一番の欲求です。女性はおしゃべりしてストレスを解消しますが、男性は一人になり自分の時間を楽しむ傾向があります。テレビに向かうのは「一人になってストレスを解消したい」というサイン。
また「話しかけない=愛情がない」とは違います。女性同士では「髪形変えた?」「最近どう?」など、親しい相手には用事がなくても会話を交わし、つながりを確認しあう行為が見られます。しかし男性にとって会話は用事があるからするもので、つながりを確認しあう手段ではありません。話しかけないことは愛情がないサインだと一概には言えませんので、不安になる必要はありません。
■症状2:話し合いの意味の違いを理解できない妻
話しかけてもテレビを眺めたまま、うわの空の夫。長男の塾選びの話、今日こそ話し合わなきゃ。
「ねぇ、○男の塾の話なんだけど」
「そうだなぁ……任せるよ」
「そんな無責任じゃない。検討しようって言ってたじゃない」
「今、決めないとダメなのか?」
「あなた毎日遅くて、話できないじゃない。帰ってくるとお風呂にも入らないでソファーでうたた寝してるし、テレビなんか見ないでお風呂に入ればいいのよ。テレビと息子のどっちが大事なの?」
一気にまくし立てると夫は、疲れた顔でふりむき、大きくため息をついた。
「わかった。じゃあ今決めよう。どこがいいと君は考えているんだ?」
「だからそれを話し合おうって……」
「話し合いだから意見を聞いてるんだろ? 君の考えを聞かせてくれよ」
「だから、これから一緒に検討するんでしょ」
「意見がなければ話し合いにならないだろ」
こんな言い合いで時間は過ぎていく。本当は一緒にパンフレットを見て、いろいろ話がしたいのに……。
□「話し合いの意味の違いを理解できない妻」の処方箋
「一人になりたい」サインを出している夫にしつこく声を掛け、批判までまくし立てては、夫が話し合う気になるわけがありません。話し合いたいときは、タイミングが重要です。「相談したいんだけど、今、話をしてもいい?」と都合を聞くことも大切。暇つぶしにしか見えないテレビも、貴重なプライベートタイムなのですから。
また、話し合いの前には自分の意見をある程度まとめておきましょう。女性にとって話し合いは過程が重要で、話し合いの中でいろいろ検討し自分の意見がまとまってくることも珍しくありません。しかし、男性にとって話し合いは決着をつける場ですから、過程は重要視されません。最初から意見をぶつけ合い、結論を出すことに向かいます。男女の違いを知っておくと、スムーズに話し合いができますよ。
■症状3:一言多い指導員妻
方向感覚バツグンなのが自慢の夫。カーナビがあっても道に迷う私は、いつも夫に方向音痴とからかわれている。そんな夫が珍しく道に迷った。車であるイベントに行ったところ、混雑を避けるため、目的地のはるか手前で迂回路にまわされてしまった。正しい道が見つからず、夫もちょっと焦っているみたい。「あなたも迷ってるじゃない」とちょっとリベンジしたつもりになったけど、時間が迫っており私も気が気ではない。
「そっちは違うと思うんだけど」
「この交差点通ったよね」
「わたしが運転しようか?」
「戻って、誘導員に聞いた方がいいんじゃない?」
「歩いている人に聞いて来ようか?」
夫を助けたくて提案しているのに、返事もせずに不機嫌な表情に。どうして……?
□「一言多い指導員妻」の処方箋
男性はプライドの高い生き物。特に地図や運転技術には、妻より自信を持っています。「道に迷ってしまった」という時点でプライドが傷つき、必死でこの状況を解決しようとしています。
ところがこの妻の場合、「あなたも迷ってるじゃない」と口にした時点で、傷ついた夫の傷口に塩を塗りつけています。普段のお返しなので、これぐらいは目をつぶるとしても、そのあとがいけません。「そっちは違う」と夫の判断に異論を唱えたり、「運転を代わろうか」とあなたには任せられないと主張したり、夫の傷口に塩を重ね塗りしています。さらに、道を人に聞くことは男性にとって降参、敗北を意味します。自分で聞くのも屈辱ですし、妻を聞かせに行くのも耐え難いこと。良かれと思っての発言が、夫を追い込んでしまったわけです。
ベストの対応は「あなたなら解決できるわ」と信頼し見守ってあげることです。口を挟みたくても、グッと我慢。リベンジしたければ、正しい道が見つかり「すごいわ、さすがに方向感覚がいいわね」とほめたあとにしましょう。解決できた後の心理状態ならば、受け止めてくれるでしょう。
■症状4:負けず嫌い妻
PTAの会計係を引き受けたのはいいけれど、エクセルって苦手。報告会があるから、今晩中に仕上げなきゃ。一つ一つ入力している私の手元を覗き込んできた夫。
「全部手で打ってるの? 関数使えば一発なのに」という言葉にカチンと来る私。
「関数を知らないからに決まってるじゃない!」と思わず言い返してしまう。
「じゃあ、教えてあげるよ。そんなやり方じゃ朝までやっても終わらないよ」
「教えてもらわなくてもいいわ。この方が一つずつ確認しながら入力できるし」
「じゃあ自力でがんばりな!」
夫はリビングを出て行ってしまった。せっかく二人でゆっくりできる週末なのに……。
□「負けず嫌い妻」の処方箋
男性は指導することが大好き。悪気がなく、良い方法を教えてあげようとした例だと考えられます。しかし、悪戦苦闘している妻からすれば馬鹿にされている感じがして、意地を張ってしまったようです。
デキル妻も良いですが、男性にとっては自分がちょっと優位に立てる、隙のある妻をかわいらしく感じるもの。夫の指導欲を満たしてあげるのも賢いテクニックです。夫の得意な分野、周囲の人に注目されているときなど、場を見て夫をたててあげることで、夫婦の会話も楽しい方向に弾んでいきますよ。
■症状5:家庭内メール妻
プライバシーを重視する夫婦で、お互いに干渉しないようにしている。夫も物静かなタイプで趣味はゲーム。どんなゲームをしているのか見たことも、尋ねたことも無い。
見たいテレビ番組も違うから、別の部屋で別の番組を見ていることも。一緒に見るのは食事のときぐらいかな。といっても、沈黙が気詰まりだからの音を出しているだけで、一緒に見ているわけじゃない。お互いに話題がないから、テレビが無かったらお通夜みたいになるかも。共働きで家事は交代制。明日の燃えるごみを忘れないように言っておかなきゃ。ゲームの邪魔にならないよう携帯にメールしよう。
□「家庭内メール妻」の処方箋
職場でのメールなら、あとあと「言った/言わない」論争を避けるためには良い方法なのかもしれませんが、同じ家庭にいながらメールというのも寂しいもの。
また、言葉のやり取りそのものを楽しむ会話に関しては、女性のほうがもともと得意。夫婦の会話は、妻が積極的に働きかけないとうまく回りません。夫の趣味や嗜好にも多少は興味を持って、共通の話題を増やしていきましょう。夫婦で一緒にできる何かがあると会話が弾みます。特に無いなら、一緒に散歩に行くだけでもいいでしょう。家の中より話題のタネが増えます。プライバシーの尊重は相手への充分な理解があって、初めてできるもの。最初からプライバシー尊重をかざすのは、相手への無関心につながってしまいますよ。
ご家庭に当てはまる事例はありませんでしたか? ドキッとした方は気づいたときがチャンス。コミュニケーション能力の高い妻を目指して、はじめの一歩を踏み出してください。
【夫婦関係:二松 まゆみ】
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などの事例が少なくありません。夫婦の会話の具体的な「症状」を参照しつつ、妻への「処方箋」を考えてみましょう。
■症状1:一人で空回り妻
帰宅は23時過ぎの夫。帰ってくると、缶ビール片手にニュースを眺めてごろごろ。声を掛けても、「うーん」とあいまいな返事だけ。夫からは話しかけても来ない。私や子どもの様子が気にならないのかしら。もう愛情も冷めたってことなのね。
□「一人で空回り妻」の処方箋
この妻が失敗している点は、夫の状態をよく理解していないという点。仕事では周囲に気を遣い、ライバルと戦い、気持ちが張った状態で過ごしています。家に帰ったらリラックスしたいのが一番の欲求です。女性はおしゃべりしてストレスを解消しますが、男性は一人になり自分の時間を楽しむ傾向があります。テレビに向かうのは「一人になってストレスを解消したい」というサイン。
また「話しかけない=愛情がない」とは違います。女性同士では「髪形変えた?」「最近どう?」など、親しい相手には用事がなくても会話を交わし、つながりを確認しあう行為が見られます。しかし男性にとって会話は用事があるからするもので、つながりを確認しあう手段ではありません。話しかけないことは愛情がないサインだと一概には言えませんので、不安になる必要はありません。
■症状2:話し合いの意味の違いを理解できない妻
話しかけてもテレビを眺めたまま、うわの空の夫。長男の塾選びの話、今日こそ話し合わなきゃ。
「ねぇ、○男の塾の話なんだけど」
「そうだなぁ……任せるよ」
「そんな無責任じゃない。検討しようって言ってたじゃない」
「今、決めないとダメなのか?」
「あなた毎日遅くて、話できないじゃない。帰ってくるとお風呂にも入らないでソファーでうたた寝してるし、テレビなんか見ないでお風呂に入ればいいのよ。テレビと息子のどっちが大事なの?」
一気にまくし立てると夫は、疲れた顔でふりむき、大きくため息をついた。
「わかった。じゃあ今決めよう。どこがいいと君は考えているんだ?」
「だからそれを話し合おうって……」
「話し合いだから意見を聞いてるんだろ? 君の考えを聞かせてくれよ」
「だから、これから一緒に検討するんでしょ」
「意見がなければ話し合いにならないだろ」
こんな言い合いで時間は過ぎていく。本当は一緒にパンフレットを見て、いろいろ話がしたいのに……。
□「話し合いの意味の違いを理解できない妻」の処方箋
「一人になりたい」サインを出している夫にしつこく声を掛け、批判までまくし立てては、夫が話し合う気になるわけがありません。話し合いたいときは、タイミングが重要です。「相談したいんだけど、今、話をしてもいい?」と都合を聞くことも大切。暇つぶしにしか見えないテレビも、貴重なプライベートタイムなのですから。
また、話し合いの前には自分の意見をある程度まとめておきましょう。女性にとって話し合いは過程が重要で、話し合いの中でいろいろ検討し自分の意見がまとまってくることも珍しくありません。しかし、男性にとって話し合いは決着をつける場ですから、過程は重要視されません。最初から意見をぶつけ合い、結論を出すことに向かいます。男女の違いを知っておくと、スムーズに話し合いができますよ。
■症状3:一言多い指導員妻
方向感覚バツグンなのが自慢の夫。カーナビがあっても道に迷う私は、いつも夫に方向音痴とからかわれている。そんな夫が珍しく道に迷った。車であるイベントに行ったところ、混雑を避けるため、目的地のはるか手前で迂回路にまわされてしまった。正しい道が見つからず、夫もちょっと焦っているみたい。「あなたも迷ってるじゃない」とちょっとリベンジしたつもりになったけど、時間が迫っており私も気が気ではない。
「そっちは違うと思うんだけど」
「この交差点通ったよね」
「わたしが運転しようか?」
「戻って、誘導員に聞いた方がいいんじゃない?」
「歩いている人に聞いて来ようか?」
夫を助けたくて提案しているのに、返事もせずに不機嫌な表情に。どうして……?
□「一言多い指導員妻」の処方箋
男性はプライドの高い生き物。特に地図や運転技術には、妻より自信を持っています。「道に迷ってしまった」という時点でプライドが傷つき、必死でこの状況を解決しようとしています。
ところがこの妻の場合、「あなたも迷ってるじゃない」と口にした時点で、傷ついた夫の傷口に塩を塗りつけています。普段のお返しなので、これぐらいは目をつぶるとしても、そのあとがいけません。「そっちは違う」と夫の判断に異論を唱えたり、「運転を代わろうか」とあなたには任せられないと主張したり、夫の傷口に塩を重ね塗りしています。さらに、道を人に聞くことは男性にとって降参、敗北を意味します。自分で聞くのも屈辱ですし、妻を聞かせに行くのも耐え難いこと。良かれと思っての発言が、夫を追い込んでしまったわけです。
ベストの対応は「あなたなら解決できるわ」と信頼し見守ってあげることです。口を挟みたくても、グッと我慢。リベンジしたければ、正しい道が見つかり「すごいわ、さすがに方向感覚がいいわね」とほめたあとにしましょう。解決できた後の心理状態ならば、受け止めてくれるでしょう。
■症状4:負けず嫌い妻
PTAの会計係を引き受けたのはいいけれど、エクセルって苦手。報告会があるから、今晩中に仕上げなきゃ。一つ一つ入力している私の手元を覗き込んできた夫。
「全部手で打ってるの? 関数使えば一発なのに」という言葉にカチンと来る私。
「関数を知らないからに決まってるじゃない!」と思わず言い返してしまう。
「じゃあ、教えてあげるよ。そんなやり方じゃ朝までやっても終わらないよ」
「教えてもらわなくてもいいわ。この方が一つずつ確認しながら入力できるし」
「じゃあ自力でがんばりな!」
夫はリビングを出て行ってしまった。せっかく二人でゆっくりできる週末なのに……。
□「負けず嫌い妻」の処方箋
男性は指導することが大好き。悪気がなく、良い方法を教えてあげようとした例だと考えられます。しかし、悪戦苦闘している妻からすれば馬鹿にされている感じがして、意地を張ってしまったようです。
デキル妻も良いですが、男性にとっては自分がちょっと優位に立てる、隙のある妻をかわいらしく感じるもの。夫の指導欲を満たしてあげるのも賢いテクニックです。夫の得意な分野、周囲の人に注目されているときなど、場を見て夫をたててあげることで、夫婦の会話も楽しい方向に弾んでいきますよ。
■症状5:家庭内メール妻
プライバシーを重視する夫婦で、お互いに干渉しないようにしている。夫も物静かなタイプで趣味はゲーム。どんなゲームをしているのか見たことも、尋ねたことも無い。
見たいテレビ番組も違うから、別の部屋で別の番組を見ていることも。一緒に見るのは食事のときぐらいかな。といっても、沈黙が気詰まりだからの音を出しているだけで、一緒に見ているわけじゃない。お互いに話題がないから、テレビが無かったらお通夜みたいになるかも。共働きで家事は交代制。明日の燃えるごみを忘れないように言っておかなきゃ。ゲームの邪魔にならないよう携帯にメールしよう。
□「家庭内メール妻」の処方箋
職場でのメールなら、あとあと「言った/言わない」論争を避けるためには良い方法なのかもしれませんが、同じ家庭にいながらメールというのも寂しいもの。
また、言葉のやり取りそのものを楽しむ会話に関しては、女性のほうがもともと得意。夫婦の会話は、妻が積極的に働きかけないとうまく回りません。夫の趣味や嗜好にも多少は興味を持って、共通の話題を増やしていきましょう。夫婦で一緒にできる何かがあると会話が弾みます。特に無いなら、一緒に散歩に行くだけでもいいでしょう。家の中より話題のタネが増えます。プライバシーの尊重は相手への充分な理解があって、初めてできるもの。最初からプライバシー尊重をかざすのは、相手への無関心につながってしまいますよ。
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