テキサス州オースティンで開催されているアメリカ天文学会の会合で1月9日、太陽系外惑星「ケプラー16b」には地球型衛星が存在する可能性が発表された。さらに、ケプラー16bのように2つの太陽を持つ惑星は、天の川銀河(銀河系)だけでも数百万存在するらしい。
映画『スター・ウォーズ』に登場する架空の惑星「タトゥイーン」は2つの太陽を公転しているが、同様の惑星のグループ「周連星惑星」は普遍的なのかもしれない。
ケプラー16bの発見が報告されたのは去年の9月のことだった。1月11日の学会で発表されたのは土星サイズの巨大ガス惑星「ケプラー34b」と「ケプラー35b」。重力によって近い距離を保つ2つの恒星の周囲を公転している。
3つの周連星惑星を発見したのは、太陽を周回するNASAのケプラー宇宙望遠鏡。惑星が親星の前を通過する際、親星の見かけの明るさが低下する現象を検出する機能があり、750以上の太陽系外惑星という画期的な成果を上げている。
研究を主導したアメリカ、サンディエゴ州立大学の天文学者ウィリアム・ウェルシュ氏は、34bと35bの発見により、ケプラー16bはもはや特殊な存在ではなくなったと話す。
◆銀河系には2つの太陽を持つ惑星が数百万も
ウェルシュ氏らは3つの周連星惑星を基に、同様の惑星が銀河系に存在する可能性を計算した。計算の主な要素は以下の通り:
・ 既知の太陽系外惑星750のうち、周連星惑星は3つ。
・ ケプラーの観測範囲には、望遠鏡で検出できない惑星が約7倍存在する。ケプラーの手法では惑星が恒星の前を通過する必要があり、ほとんどの惑星はその条件を満たさないからだ。
・ 最新の研究から推測した銀河系に存在する連星の数。
ウェルシュ氏は、「われわれの結論では、銀河系には最低でも数百万の周連星惑星が存在する」と述べる。数が多ければ、生命を維持できる地球型惑星発見の可能性も増えるという。
◆生命の探索の新たなターゲット
ウェルシュ氏らが約1000万年のスパンでシミュレーションしたところ、3つの周連星惑星の軌道は安定しているという結果が出た。連星との距離は、それぞれ太陽・地球間の0.6~1.1倍である。
ただし、いくら安定していても生命が存在するとは限らないとウェルシュ氏は指摘する。
3つのともすべて巨大ガス惑星で、ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)からも外れている。生命が育まれるには、親星から過不足なく熱を得られ、液体の水が存在する必要がある。
それでも、ケプラー16bと34b、35bが地球外生命の期待を高めたことには変わりない。「連星系に地球型の惑星は存在しないというのが共通の認識だった。しかし今後は、周連星惑星も候補にできる」とウェルシュ氏は話す。
今回の研究結果は1月11日、「Nature」誌のオンライン版に掲載されている。
Andrew Fazekas for National Geographic News
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ケプラー16bの発見が報告されたのは去年の9月のことだった。1月11日の学会で発表されたのは土星サイズの巨大ガス惑星「ケプラー34b」と「ケプラー35b」。重力によって近い距離を保つ2つの恒星の周囲を公転している。
3つの周連星惑星を発見したのは、太陽を周回するNASAのケプラー宇宙望遠鏡。惑星が親星の前を通過する際、親星の見かけの明るさが低下する現象を検出する機能があり、750以上の太陽系外惑星という画期的な成果を上げている。
研究を主導したアメリカ、サンディエゴ州立大学の天文学者ウィリアム・ウェルシュ氏は、34bと35bの発見により、ケプラー16bはもはや特殊な存在ではなくなったと話す。
◆銀河系には2つの太陽を持つ惑星が数百万も
ウェルシュ氏らは3つの周連星惑星を基に、同様の惑星が銀河系に存在する可能性を計算した。計算の主な要素は以下の通り:
・ 既知の太陽系外惑星750のうち、周連星惑星は3つ。
・ ケプラーの観測範囲には、望遠鏡で検出できない惑星が約7倍存在する。ケプラーの手法では惑星が恒星の前を通過する必要があり、ほとんどの惑星はその条件を満たさないからだ。
・ 最新の研究から推測した銀河系に存在する連星の数。
ウェルシュ氏は、「われわれの結論では、銀河系には最低でも数百万の周連星惑星が存在する」と述べる。数が多ければ、生命を維持できる地球型惑星発見の可能性も増えるという。
◆生命の探索の新たなターゲット
ウェルシュ氏らが約1000万年のスパンでシミュレーションしたところ、3つの周連星惑星の軌道は安定しているという結果が出た。連星との距離は、それぞれ太陽・地球間の0.6~1.1倍である。
ただし、いくら安定していても生命が存在するとは限らないとウェルシュ氏は指摘する。
3つのともすべて巨大ガス惑星で、ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)からも外れている。生命が育まれるには、親星から過不足なく熱を得られ、液体の水が存在する必要がある。
それでも、ケプラー16bと34b、35bが地球外生命の期待を高めたことには変わりない。「連星系に地球型の惑星は存在しないというのが共通の認識だった。しかし今後は、周連星惑星も候補にできる」とウェルシュ氏は話す。
今回の研究結果は1月11日、「Nature」誌のオンライン版に掲載されている。
Andrew Fazekas for National Geographic News
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