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21日朝に金環日食、各地で期待高まる

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 週明け21日の朝、見慣れた丸い太陽が、“炎の指輪”へと姿を変える。この現象は東アジアとアメリカ西部の一部地域で観測できる。

 金環日食と呼ばれる今回の日食は、日本では九州南東部から四国のほぼ全域、近畿・中部地方の南部、東海地方全域、関東のほぼ全域、福島南東部まで、かなり広い範囲で観測でき、部分食は他のすべての地域で見られる。日本で金環日食が前回見られたのは1987年だが、この時は沖縄だけだった。次回は2030年だが、それは北海道だけとなる。

 皆既日食と同様、金環日食も月が地球と太陽の間の一直線上に並んだ際に起こる。ただし金環日食の場合は、月の見た目の直径が太陽の見た目の直径より小さいため、太陽の円周の部分は隠れず、燃えさかる炎のリングのように見える。

 このような日食では「金環日食の見られる金環帯は(南北の)幅数百キロ、(東西の)長さは数万キロにも及ぶ」と、日食の専門家であるマサチューセッツ州ウィリアムズ大学のジェイ・パサコフ氏は言う。

 この金環食帯の中では「専用の太陽グラスを使えば、黒い月の影の周りの、太陽光のリングを観測できる」とパサコフ氏は言う。

 今回の金環日食は中国で、現地時間5月21日の日の出とともに見えるようになる。月の影の通り道である金環帯(中心食帯)は次に日本を通過する。日本で金環日食が見られるのは、鹿児島で7時20分、高知7時25分、大阪7時29分、名古屋・静岡7時30分、東京7時32分、水戸7時34分などとなっている。食の始まり、つまり太陽が欠け始めるのは、この1時間10分~15分前になる。

 金環帯はその後、太平洋を横断する。日付変更線をまたいで、金環帯が再び大陸と重なるのは、北米の現地時間5月20日の午後遅く。まずはカリフォルニア州とオレゴン州の州境付近で、現地時間の午後6時26分に観測できる。

 そして金環帯は、ネバダ州南部、ユタ州南部、アリゾナ州北部のグランドキャニオン、コロラド州南西部のごく一部とニューメキシコ州の大部分を通過して、テキサス州ラボック付近で、現地時間午後8時36分の日没のころに終わる。

 金環帯内部のほとんどの地点では、金環日食はわずか3分から5分ほどで終了する。東京や静岡など、金環帯の中心線上では最も長く、5分間余り続く。

◆日食をいっそう美しくする、活発な太陽活動

 今回の金環帯は南北の幅約300キロで、その中にはアメリカの複数の国立公園など、写真映えのしそうな自然豊かな地域も含まれる。

 金環帯の外でも、アジア北東部とアメリカの西側約3分の2の地域、それにカナダのほぼ全域では、印象的な部分日食が見られる。

「皆既日食では太陽が完全に隠れるので空が暗くなるが、金環日食の際にはそれほど暗くならない。だから中心食帯の外にいても、見え方の違いはリングが不完全で、左右対称にもならないことくらいだ。ともかく部分日食は見えるのだから」とパサコフ氏は話す。

 日食の際に雲1つない晴天を期待するなら、確率が高いのはアメリカではネバダ州、アリゾナ州、ユタ州などだとアドバイスしてくれたのは、ロサンゼルス州グリフィス天文台の天文学者アンソニー・クック氏だ。

「とはいえ、アメリカ西部の金環帯の大部分では、五分五分以上の高い確率で、日食観測に十分な晴天を望める」とクック氏は言う。日本では、気象庁18日発表の週間天気予報によると、21日朝の各地は曇りがちのようだ。

 クック氏はまた、今回の日食は特に美しくなるだろうと予測している。現在の太陽周期がピークを迎えるのは2013年初頭と予測されており、今回の日食はそれに近い時期に起こるからだ。

「大小の太陽黒点が、月の(凹凸のある)輪郭線が進むにつれて覆い隠され、月が太陽の前を離れれば今度は再び姿を現す。その過程でいろいろと面白い瞬間を目撃できるだろう」とクック氏は言う。

 日食を安全に観測するためには、専用に作られた太陽グラスを用いるよう専門家は勧めている。望遠鏡やカメラの前にも太陽フィルターの取り付けが望ましい。これらは太陽の眩しさを減じ、目に害となる紫外線や赤外線を遮断してくれる。

 しかし最も安全で簡単に日食を観測できるのはピンホール投影法だとウィリアムズ大学のパサコフ氏は言う。

「厚紙に直径3~6ミリの穴を開け、部分日食や金環日食の間、数メートル先の壁に太陽像を投影すると」太陽の形を確認できるとパサコフ氏は説明する。

◆観測機会としての日食

 グリフィス天文台のクック氏は、研究者らは今回の金環日食をデータの取得にも利用しようとしているだろうと言う。 「金環帯の近くにある電波望遠鏡では、月の通過によって、太陽にある黒点などの電波障害の源が覆い隠されたときに、観測を行うだろう」とクック氏は言う。

 太陽黒点は、太陽フレアという爆発的な電磁波放射に関係している。太陽フレアは地上の無線通信障害の原因となるほか、電波望遠鏡による宇宙の観測の妨げともなる。

「また、金環日食の正確な開始時刻を過去の観測結果と比較すれば、太陽の直径に変化が起きている可能性についての有益なデータとなりうる」とクック氏は話している。

Andrew Fazekas for National Geographic News

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