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絶滅する中高年―。
4月4日の『日経MJ新聞』にそんな記事を見つけて、思わず目を疑いました。中高年、いわゆるオジサン・オバサンが絶滅するなんて、あるわけないじゃないですか、と。
よく読んでみると、50代の男女に「シニアを自分のことだと思うか」という質問をしたところ、「そう思う」と答えたのは27%しかいなかったとのこと(博報堂「新しい大人文化研究所」調べ)。そのベースにあるのは、「いつまでも若々しくありたい」という思い。なるほど、これからの日本の人口シェアの多くを占めていく中高年の皆さんが若々しく元気であるというのは、とてもいいことだと、まだ若い(と思っている)私はちょっぴり上から目線な感想をもったのでした。
しかし、その一方で絶滅危惧種になるかもしれない「中高年」の男性、つまり「おじさん」たちの観察を続けて一冊の本にしたものが今ヒットしています。最近やたらとテレビや新聞で紹介され、人気を博している『おじさん図鑑』です。
一体どんな本なのかと書店に行ってみたところ、その薄さ・小ささにまず驚きました。「図鑑」というくらいだから、きっと大きな重い本、少なくともハードカバーの小説くらいはあるのだろうと思ったら、通常のビジネス書サイズ(四六判)で、約1cmの薄い本でした。値段も1,050円と単行本よりも安いのです。
もうご存じの方も多いと思いますが、この『おじさん図鑑』(小学館刊)は、31歳のイラストレーター・なかむらるみさんが、実に4年間にわたって世の中の「おじさん」を観察し続け、図鑑としてまとめたものです。20代半ばから30歳を過ぎるまで、ひたすらおじさんを追いかけ続けた著者。そんな若い女の子の心をつかんでしまう「おじさん」の魅力とは何なのでしょうか。
読んでみて、まずその魅力の一つは「哀愁」なのだと思いました。おじさんには若者には決して出せない、「哀愁」が漂っています。それは、生きてきた人生の重みです。背中がそれを物語ります。それを見て、まわりの人はふと涙ぐんでしまったりするのです。その一方で、おじさんには「お茶目さ」もあります。なんだか「かわいい」から憎めない。この本には、そんな哀愁を帯びていながらもお茶目な、愛すべきおじさんたちがたくさん載っています。そのリアルさには脱帽です。
48パターンに分類されているおじさんたち。そのネーミングも実に秀逸です。「休日のおじさん」、「人の物をのぞくおじさん」、「全身茶色っぽいおじさん」などなど。そして、おもしろいと思ったのが、それぞれのおじさんについて著者がお茶目、色気、哀愁、渋味、インパクトの5項目で点数をつけ、「総合評価」のPOINTを出していることです。例えば、私がいちばん好きだった「仙人おじさん」(白いあごひげが特徴)の総合評価は60POINT。「神々しいので高インパクト」なのだそう。また、「缶ビール・缶チューハイのおじさん」は83POINTで「幸せそうなので高ポイント」。48項目の中でいちばんの高POINTをたたき出したおじさんは「酔っぱらいおじさん」で、なんと95POINTをゲット。「おもしろさはNO.1」とのこと。確かに、納得の結果です。
著者が「おじさん」に目覚めたのは、高校生の時。美術の先生の個展に行った際に、先生を取り囲むおじさん達の自由さを見て「おじさんていいなー!」とワクワクしたのがきっかけだったそうです。そんな著者のおじさんに対する愛情が随所ににじみ出ているところが、この本のいちばんの魅力だと思います。ポケットサイズなので、これからは常に持ち歩いて、街でおじさんたちを見つけては「この中のどのおじさんに当てはまるだろう」と探してしまいそうです。
帯には大きくこう書かれています。
すべての若者に捧ぐ。おじさんになる前に、おじさんを知るべきだ。
これからのおじさんは、もっともっと渋く、カッコよく、オシャレになっていくのでしょうか。数年後にもしも『続・おじさん図鑑』なんてものが出版されるとしたら―。この本とはまた一味違ったおじさんたちが、たくさん登場するのかもしれません。
(尾越まり恵)
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4月4日の『日経MJ新聞』にそんな記事を見つけて、思わず目を疑いました。中高年、いわゆるオジサン・オバサンが絶滅するなんて、あるわけないじゃないですか、と。
よく読んでみると、50代の男女に「シニアを自分のことだと思うか」という質問をしたところ、「そう思う」と答えたのは27%しかいなかったとのこと(博報堂「新しい大人文化研究所」調べ)。そのベースにあるのは、「いつまでも若々しくありたい」という思い。なるほど、これからの日本の人口シェアの多くを占めていく中高年の皆さんが若々しく元気であるというのは、とてもいいことだと、まだ若い(と思っている)私はちょっぴり上から目線な感想をもったのでした。
しかし、その一方で絶滅危惧種になるかもしれない「中高年」の男性、つまり「おじさん」たちの観察を続けて一冊の本にしたものが今ヒットしています。最近やたらとテレビや新聞で紹介され、人気を博している『おじさん図鑑』です。
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もうご存じの方も多いと思いますが、この『おじさん図鑑』(小学館刊)は、31歳のイラストレーター・なかむらるみさんが、実に4年間にわたって世の中の「おじさん」を観察し続け、図鑑としてまとめたものです。20代半ばから30歳を過ぎるまで、ひたすらおじさんを追いかけ続けた著者。そんな若い女の子の心をつかんでしまう「おじさん」の魅力とは何なのでしょうか。
読んでみて、まずその魅力の一つは「哀愁」なのだと思いました。おじさんには若者には決して出せない、「哀愁」が漂っています。それは、生きてきた人生の重みです。背中がそれを物語ります。それを見て、まわりの人はふと涙ぐんでしまったりするのです。その一方で、おじさんには「お茶目さ」もあります。なんだか「かわいい」から憎めない。この本には、そんな哀愁を帯びていながらもお茶目な、愛すべきおじさんたちがたくさん載っています。そのリアルさには脱帽です。
48パターンに分類されているおじさんたち。そのネーミングも実に秀逸です。「休日のおじさん」、「人の物をのぞくおじさん」、「全身茶色っぽいおじさん」などなど。そして、おもしろいと思ったのが、それぞれのおじさんについて著者がお茶目、色気、哀愁、渋味、インパクトの5項目で点数をつけ、「総合評価」のPOINTを出していることです。例えば、私がいちばん好きだった「仙人おじさん」(白いあごひげが特徴)の総合評価は60POINT。「神々しいので高インパクト」なのだそう。また、「缶ビール・缶チューハイのおじさん」は83POINTで「幸せそうなので高ポイント」。48項目の中でいちばんの高POINTをたたき出したおじさんは「酔っぱらいおじさん」で、なんと95POINTをゲット。「おもしろさはNO.1」とのこと。確かに、納得の結果です。
著者が「おじさん」に目覚めたのは、高校生の時。美術の先生の個展に行った際に、先生を取り囲むおじさん達の自由さを見て「おじさんていいなー!」とワクワクしたのがきっかけだったそうです。そんな著者のおじさんに対する愛情が随所ににじみ出ているところが、この本のいちばんの魅力だと思います。ポケットサイズなので、これからは常に持ち歩いて、街でおじさんたちを見つけては「この中のどのおじさんに当てはまるだろう」と探してしまいそうです。
帯には大きくこう書かれています。
すべての若者に捧ぐ。おじさんになる前に、おじさんを知るべきだ。
これからのおじさんは、もっともっと渋く、カッコよく、オシャレになっていくのでしょうか。数年後にもしも『続・おじさん図鑑』なんてものが出版されるとしたら―。この本とはまた一味違ったおじさんたちが、たくさん登場するのかもしれません。
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