
■たたく、回す、反る、指圧する
「腰がだるい、重いと感じたら、すぐに、『腰のあたりをたたく』、『腰を回す』、『後ろに反る』、その後、『ツボを指圧する』と試みてください」と丸尾先生。
以下は、丸尾先生談です。
1.腰をトントンとたたく
腰に疲れを感じても座ったり休んだりできないときには、まずは背筋を伸ばしてから、両手のこぶしで腰のあたりをトントンとたたきます。血流が促されるため、腰の重だるさを瞬間的に緩和することができます。
デスクワーク中などは、椅子に座ったままで行います。
歩き疲れ、運動時の疲労には、腰からおなか、脚全体をたたくと、すっとだるさがとれます。また、「強めに速くたたく」と、さらに効果があります。
2.腰を回す
腰の痛みは、座ったまま、立ち仕事などで、腰を動かさないことで起こることが多いのです。
両方の腰骨の出っ張ったところに両手をあて、ゆっくりと回します。左右に各20~100回を1セットとして何度でも行ってください。
3.腰を反る

腰痛の原因の一つに「猫背」があり、骨盤などにもゆがみが起こります。
「背中の左右の腎臓あたりにこぶしをあて、鼻から息を吸って、口から細く息を吐きながらゆっくりと後ろに反り、体の前面をストレッチして背中には力を入れる」という姿勢をとります。
反るときに、首を急に後ろにぱたっと倒さないようにしましょう。また、腰に違和感以上の痛みが走る場合は、神経やほかの原因が考えられますので、反るのを中止してください。
4.ツボを指圧する
筋肉の疲労、姿勢に問題があって腰が痛む場合は特に、ツボを指圧するととても効果があります。次に紹介する特効ツボを、押しやすい指で、ひと押し10秒~1分を数回、繰り返し指圧しましょう。しこりがあるときは、ほぐすようにじっくりと押します。
・膀胱兪(ぼうこうゆ)

下半身の血流を促す働きがあるツボで、腰痛、坐骨神経痛、冷え性や膀胱炎、便秘の改善に効果があります。ここにカイロを貼ると、これらの症状にとても有効です。
ツボの位置と指圧法:お尻の上、仙骨(せんこつ・腰の平らな部分の骨)の中央(背骨の延長線)にある上から2番目のくぼみから、左右の外側へ自分の親指の幅1本半ほど向かったところ。
仙骨のくぼみは、ひざを抱えて背中を丸めて座りながら触ると見つけやすいでしょう。
・殷門(いんもん)

「殷」とは、「大きい、真ん中」、「門」は「邪気の出入り口」という意味があります。座骨神経痛の特効ツボで、慢性腰痛や背中のこわばり、足のしびれなどを訴える患者さんにはここにお灸(きゅう)、鍼(はり)をするとよく効くと言われます。こむら返りにも効果があります。
ツボの位置と指圧法:太ももの後ろの中央あたり。いすに座って手を太ももの下に差し入れ、指圧しながら、しこりや違和感がある場所を探します。中指でひと押し10秒~1分を数回、繰り返します。
・委中(いちゅう)

腰からお尻、足にかけて痛みがあるときの特効ツボで、足のしびれ、ひざの痛みにも効きます。ここを押すと飛び上るほど痛む人もいます。その場合は優しく、指の腹でなでるように指圧しましょう。
ツボの位置と指圧法:ひざの裏の関節の真ん中。中指でひと押し10秒~1分を数回、繰り返します。いすに座ってひざを両手で包み込み、中指で委中を押しながら足を前後に振るとより刺激が伝わります。(トップの写真参照)
丸尾先生は、次のアドバイスを加えます。
「とにかく腰を動かし、ツボ押しで血流増進効果を高めるようにしますまた、ツボには、お灸(きゅう)や鍼(はり)での刺激もお勧めします」
どれも日常的に簡単にできる腰痛対策で、ありがたい情報です。痛みが出てからではなく、疲れそうと思ったらすぐに「腰をトントン」から始めて予防しておくのが得策です。
監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。
太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10 TEL: 06-7176-6289 地下鉄谷町線・今里筋線太子橋今市駅から徒歩1分 http://www.taisibasi.com/
(藤井空/ユンブル)
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