新たな研究によれば、南天のみずへび座の方向127光年先に位置する恒星HD 10180は、最大で9つの惑星が周回軌道を巡っている可能性があるという。これは、正式な惑星数が8つの太陽系を上回る数字だ。
HD 10180が初めて注目を集めたのは2010年で、その時点では確認済み惑星が5つ、惑星候補が2つと発表された。
そして今回、およそ10年分のデータを見直した結果、それまでの惑星候補2つの存在を確認したほか、さらに2つの候補を示す明らかな兆候も見つかった。新たな2つの候補が本物なら、惑星の数は合計9つとなる。
研究を率いたイギリス、ハートフォードシャー大学の天文学者ミッコ・トゥオミ(Mikko Tuomi)氏は、「研究結果に基づけば、これが過去最多の惑星を持つ恒星系だといえる強力な証拠があるのは間違いない。太陽系の惑星数を超える可能性もある」と語る。「ただし新たに報告した惑星らしき天体の兆候は、判断基準をほんの少し上回る程度だ」。
現状の兆候は、新たな惑星候補の2つがいずれもスーパーアース(巨大地球型惑星)だと示している。つまり表面が岩石で覆われ、地球よりも少々大きな惑星ということだ。ただし、存在を確認するにはさらに観測が必要となる。
◆恒星に焼かれるスーパーアース
恒星HD 10180は地球から遠いために、軌道を回る惑星を直接観測するることはできない。そのため、惑星が主星に及ぼす重力の影響を観測する「視線速度法」で調査が行われた。これにはチリ、ラ・シヤにあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の3.6メートル望遠鏡に設置された観測装置HARPS(High Accuracy Radial Velocity Planet Searcher、高精度視線速度系外惑星探査装置)が用いられた。
すでに確認済みの惑星5つは、地球の12~25倍の質量で、大きさは天王星や海王星に匹敵する。つまりこれらの惑星は、非常に冷たい巨大ガス惑星の可能性が高い。
今回存在が確認された惑星2つだが、1つは質量が地球の約65倍で主な惑星群よりも遠くの軌道を周回している。もう1つはスーパーアースで地球の1.3倍の質量、公転軌道は主星にとても近い。
未確認段階の惑星候補2つも公転半径は小さい。一方は地球の1.9倍の質量で公転周期は10日、もう一方は地球の5.1倍の質量で公転周期68日と考えられている。
つまり候補の2つは、実在するとしても生命を育む惑星とは考えられない。「主星に近すぎるため、濃密な大気のない高温惑星の可能性が高い」とトゥオミ氏は説明する。同氏はさらなる観測を重ね、2つの惑星候補が実在することを確認したい考えだ。
またほかにもHD 10180と同様の、惑星数の多い恒星系を見つけたいとも思っている。「系外惑星探索はまだ始まったばかりで、いま見つかっている惑星系は氷山の一角でしかない。われわれの太陽系も、今後発見されるであろう様々な惑星系の一例に過ぎず、けして特殊な存在ではない」とトゥオミ氏は語った。
恒星HD 10180とその惑星系に関する今回の研究は最近arXiv.orgに掲載され、「Astronomy and Astrophysics」誌にも掲載が決まっている。
Andrew Fazekas for National Geographic News
【関連記事】
・系外惑星系で惑星数の記録更新か (HD 10180系)
・新発見のスーパーアース、生命の可能性
・壊れた巨大ガス惑星が2つの惑星に?
・超高温スーパーアース、かに座55e
・太陽系は天の川銀河でありふれた存在?
HD 10180が初めて注目を集めたのは2010年で、その時点では確認済み惑星が5つ、惑星候補が2つと発表された。
そして今回、およそ10年分のデータを見直した結果、それまでの惑星候補2つの存在を確認したほか、さらに2つの候補を示す明らかな兆候も見つかった。新たな2つの候補が本物なら、惑星の数は合計9つとなる。
研究を率いたイギリス、ハートフォードシャー大学の天文学者ミッコ・トゥオミ(Mikko Tuomi)氏は、「研究結果に基づけば、これが過去最多の惑星を持つ恒星系だといえる強力な証拠があるのは間違いない。太陽系の惑星数を超える可能性もある」と語る。「ただし新たに報告した惑星らしき天体の兆候は、判断基準をほんの少し上回る程度だ」。
現状の兆候は、新たな惑星候補の2つがいずれもスーパーアース(巨大地球型惑星)だと示している。つまり表面が岩石で覆われ、地球よりも少々大きな惑星ということだ。ただし、存在を確認するにはさらに観測が必要となる。
◆恒星に焼かれるスーパーアース
恒星HD 10180は地球から遠いために、軌道を回る惑星を直接観測するることはできない。そのため、惑星が主星に及ぼす重力の影響を観測する「視線速度法」で調査が行われた。これにはチリ、ラ・シヤにあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の3.6メートル望遠鏡に設置された観測装置HARPS(High Accuracy Radial Velocity Planet Searcher、高精度視線速度系外惑星探査装置)が用いられた。
すでに確認済みの惑星5つは、地球の12~25倍の質量で、大きさは天王星や海王星に匹敵する。つまりこれらの惑星は、非常に冷たい巨大ガス惑星の可能性が高い。
今回存在が確認された惑星2つだが、1つは質量が地球の約65倍で主な惑星群よりも遠くの軌道を周回している。もう1つはスーパーアースで地球の1.3倍の質量、公転軌道は主星にとても近い。
未確認段階の惑星候補2つも公転半径は小さい。一方は地球の1.9倍の質量で公転周期は10日、もう一方は地球の5.1倍の質量で公転周期68日と考えられている。
つまり候補の2つは、実在するとしても生命を育む惑星とは考えられない。「主星に近すぎるため、濃密な大気のない高温惑星の可能性が高い」とトゥオミ氏は説明する。同氏はさらなる観測を重ね、2つの惑星候補が実在することを確認したい考えだ。
またほかにもHD 10180と同様の、惑星数の多い恒星系を見つけたいとも思っている。「系外惑星探索はまだ始まったばかりで、いま見つかっている惑星系は氷山の一角でしかない。われわれの太陽系も、今後発見されるであろう様々な惑星系の一例に過ぎず、けして特殊な存在ではない」とトゥオミ氏は語った。
恒星HD 10180とその惑星系に関する今回の研究は最近arXiv.orgに掲載され、「Astronomy and Astrophysics」誌にも掲載が決まっている。
Andrew Fazekas for National Geographic News
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