中国、内モンゴル自治区の高原地帯で採掘が進むオルドスの露天掘鉱山。石炭が次々とトラックに積み込まれる同地域は、中国有数の石炭産出量を誇る。
2年間にわたり中国エネルギー業界を取材したロンドンの写真家トビー・スミス氏は、「私が訪れた場所では、インフラ、鉱山、鉄道、道路の開発・建設工事が至るところで行われていた」と語る。撮影開始の当初は、その規模とスピードに強い違和感を抱いたスミス氏だが、このような事業に対する中国人の労働倫理や自負心、高い専門技能を見聞きするにつれて、徐々に理解が深まったという。
「厳格で短い工期など最初はいくつかの点に疑問を持ったが、自分は中国の内奥部にいるのだという認識がやがてごく自然に生まれた。開発事業の工期や規模について欧米と直接比較しても、ほとんど意味がないと感じるようになった」。
もっとも、エネルギー開発を性急に進めようとするあまり、混乱も発生している。2010年、人口密度の低い内モンゴル自治区北東部の道路で、120キロの大規模な交通渋滞が発生。この地域から中国各地の発電所へ石炭を輸送するトラックおよそ1万台が身動きできなくなった。
また、乗り込んだエネルギー開発企業と先住民の遊牧民族との対立も起きている。例えば、漢民族系中国人の運転する石炭輸送トラックの通行を阻止しようとして、1人の遊牧民が命を落とした。事件を受け、2011年春には数百人の同朋が抗議活動に参加。一方、被害者をはねた後に100メートル以上トラックで引きずった運転手も、死刑を宣告され同年8月に執行された。内モンゴル自治区では人口構成比が激変し、モンゴル族などを押しのけて漢民族が80%以上を占める事態となっている。
National Geographic News
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